外国人のための法律相談FAQ ver.1

外国人のための法律相談FAQ          ver.2 (201800921)

(注:弁護士の協力によって作成したものですが,当協会は回答に責任を持ちません。具体的問題については,関係機関や弁護士への相談をお勧めします)。 

 【法律相談窓口等】

Q1 法律相談をしたいのですが,弁護士会などで外国人のための相談窓口がありますか。

(A:例えば,大阪弁護士会の「外国人相談:Legal Consultation for Foreign National」が利用可能です(電話で予約することが可能。06-6364-1248)。なお,資力がない場合は,例えば「法テラス大阪」(0503383-5425)でも相談可能とされています。)

【行政関係等】

Q1 市役所での各種手続をするのに通訳を付けてもらうことができますか。

(A:例えば,吹田市の場合,吹田市役所(山田・千里丘・千里出張所を含む),吹田市立幼稚園・保育園・小学校・中学校などで手続をしたり相談したい場合,英語・中国語・韓国朝鮮語の無料通訳を利用することができます。なお,利用したい日の5日前までに,利用したい窓口で予約してください。英語・中国語・韓国朝鮮語のチラシは,下記の当協会HPへアクセスしてください)

http://suita-sifa.org/wp-content/uploads/2018/06/b69c65b3b3d84f198ca0c30c4b699dfc.pdf

Q2 病気になった場合,通訳の方と一緒に病院に行ってもらうことが可能ですか。

(A:例えば,吹田市国際交流協会(SIFA TEL 06-6835-1192)の場合,「コミュニティ通訳ボランティア同行事業」を行っており,市内提携病院(現在は,吹田市民病院,済生会吹田病院,済生会千里病院)や吹田市立保健センターへのコミュニティ通訳の同行を行っています(2017年実績196件)。なお,病院への予約が必要です。)

Q3 外国人の場合,以前は,日本人とは異なり外国人登録制度があると言われていましたが,今はどうなっているのですか。

(A:平成24年(2012年)に改正住民基本台帳法が施行され,以前の外国人登録制度は廃止されて,現在は,中長期在留者などは住民基本台帳に記載されることとなっています。日本での通称名も記載可能です。)

【在留資格関係等】

Q1 留学生ですが,生活費を賄うためにアルバイトをしたいと思っています。自由にアルバイトができますか。

(A:入国管理局に申請(手数料はいらない)して「資格外活動許可」をもらう必要があります(「出入国管理及び難民認定法:Immigration Control and Refugee Recognition Act」〔略して「入国管理法」とか「入管法: Immigration Control Law」といわれています〕19条2項:Article 19 (2))。許可がでれば,1週間当たり28時間以内などの範囲内でアルバイトが可能です。なお,申請から許可までの期間は,2週間~2か月程度のようです。

相談先:・外国人在留総合インフォメーションセンター:Immigration Information Center 全国共通電話番号 0570-013904 ※IP電話,PHS,海外からは03-5796-7112(平日8:30~17:15)。

・大阪入国管理局,大阪市住之江区南港北1-29-53)。

Q2 留学生として大学にはきちんと通っていますが,生活費を賄うために頑張って居酒屋でアルバイトをしている結果,週に30時間ほど働いた状態となりました。どうなるでしょうか。

(A:Q1のとおり,資格外活動許可は,1週間当たり28時間以内との条件になっているので,これに違反したことになります。その結果,強制退去を定めた入管法24条4号イに当たる可能性がでてきますので,よろしくありません。但し,大学への出席率も成績もよく,アルバイトが占める時間がそれほど多くなかったような場合には,「資格外活動を専ら行っていると明らかに認められる」という要件を満たさないとして退去強制発令書発布処分を取り消した裁判例として,大阪高裁平成17年5月19日判決や東京地裁平成19年1月31日判決などがあります。)

【生活・事業関係】

Q1 アパートを借り,家賃もきちんと払っていますが,家主さんから急に出ていくように言われました。出ていかなければなりませんか。

(A:日本の借地借家法では,家主から賃貸借契約を解除できる場合はかなり限定されています。契約違反などの有無・程度にもよりますが,家主との信頼関係が破壊されたというような事情がないかぎり簡単に出ていく必要がない場合が多いでしょう。)

Q2 外国人であるというだけで,お店への入店拒否などをされた場合,泣き寝入りするしかないのでしょうか。

(A:①日本国憲法第3章14条1項は,「すべて国民は,法の下に平等であって,人種,信条,性別,社会的身分又は門地により,政治的,経済的又は社会的関係において,差別されない。」と人権保障規定を置いており,これらの規定が外国人にも適用されるかについて,最高裁判所(大合議)1978年10月4日判決(マクリーン事件)は,「憲法第三章の諸規定による基本的人権の保障は,権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き,わが国に在留する外国人に対しても等しく及ぶものと解すべき」と判示しており,また,日本は「人種差別撤廃条約」にも加入しています。②外国人に対する差別的取扱いがなされた場合,具体的な事情にもよりますが,宝石店への入店拒否〔静岡地裁浜松支部平成11年10月12日判決〕,公衆浴場への入浴拒否〔札幌地裁平成14年11月11日判決〕,スナックへの入店拒否〔東京地裁平成16年9月16日判決〕などの場合に,拒否をした側に不法行為に基づく損害賠償責任を認めたという例もあります。)

Q3 外国人が日本で起業するのは,日本人と同様に比較的簡単にできますか。

(A:日本では,株式会社を設立するための最低資本金制度がありませんので,理屈上は資本金1円でも会社を作ることができます。また,会社形態にせずに起業することもできます。しかし,外国人が日本で起業するには,「経営・管理」という在留資格が必要となり,「事業所の確保(存在)」及び「事業の継続性」という条件が認定されるために詳細なガイドラインが存在します。

入国管理局の「外国人経営者の在留資格基準の明確化について」は以下を参照してください。http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyukan_nyukan43.html

 また,地方公共団体が所有等するインキュベーション施設に入居する場合において,経費をその地方公共団体が一部負担している等の場合には,「地方公共団体が起業支援を行う場合における在留資格「経営・管理」の取扱いについて」というガイドラインが別にあります。http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri07_00160.html )

Q4 個人に対する倒産手続として,どのようなものがありますか。外国人でも利用できますか。破産しても手元に一定の財産を残せますか。

(A:日本では,個人のための倒産制度として,破産法,民事再生法(特に個人再生手続)があり,外国人でも日本に住所があれば利用できます(破産法・民事再生法3条,4条)。このうち,破産は,本人の財産を清算する制度ですが(財産がなくなった場合も利用できる。),生活再建のため,手元に原則として99万円相当の財産を残すことができます(破産法34条3項)。個人再生は,支払不能のおそれがある段階でも利用できるもので(民事再生法21条),破産と同様に原則として手元に99万円相当の財産を残しながら,残債権の一定割合を将来の収入の一部から原則5年間の分割弁済をして残りの債務から解放されるというものです。日本では,どちらの手続を利用するのも自由です。2017年には,個人破産は約7万人が,個人再生は約1万人が利用しています。)

【就職・労働問題】

Q1 来年4月に大学を卒業見込みですが,留学ビザから就労ビザへの変更申請手続は,いつからできますか。

(A:大学4年生の12月から申請できます。)

Q2 まもなく大学を卒業しますが,まだ日本での就職先が見つかっていません。就職活動のために,しばらく日本にとどまりたいのですが,可能ですか。

(A:「留学」の資格から「特定活動」への在留資格の変更が必要となり,原則として大学からの推薦状が必要とされています。「特定活動」の在留資格が取得できると卒業後6か月間就職活動が可能となり,まだ決まらない場合はもう6か月間更新できます。なお,この間,資格外活動の許可を得れば,アルバイト(但し,1週間28時間以内)が可能となります。なお,法務省のウェブページが参考となりますhttp://www.moj.go.jp/ONLINE/IMMIGRATION/ZAIRYU_HENKO/zairyu_henko10_21_10.html )

Q3 まもなく日本の企業に就職しますが,最低賃金法という法律があると聞きました。それはどういうものですか。外国人にも適用されますか。最低賃金はいくらですか。

(A:企業に就職すると,その企業と労働契約が成立します。そして,通常は,日本の労働基準法:Labor Standards Actが適用されることとなり,労働者を保護するために国籍による賃金などの差別的取扱が禁止されています(3条)。賃金については最低賃金法:Minimum Wage Actが適用され,業種や地域ごとに賃金の最低額が保障されています。平成29年(2017年)9月30日以降の大阪府最低賃金(地域別最低賃金)は1時間あたり909円となっています(特定の業種の場合はもう少し高くなります。)。

Q4 私の友人は留学生ですが,アルバイト先で仕事中にケガをしてしまいました。彼にケガへの補償はなされるのでしょうか。研修中のケガの場合はどうでしょうか。

(A:外国人が労働災害にあった場合,雇い主側に安全配慮義務違反などの民事上の損害賠償責任などが発生することがあり,それとは別に労災保険の適用も受けられます。なお,技能実習でない研修生の場合は労災保険は適用されないようですが,企業の民事責任などは別です。) 

【家族関係】

Q1 私(外国人)は日本人と結婚しようと考えていますが,日本人どうしの結婚の場合には戸籍上は夫婦同姓になると聞いています。私たちの場合はどうなりますか。生まれてくる子供の姓はどうなりますか。

(A:世界的には珍しいようですが,日本では夫婦同姓制度がとられています。戸籍実務では,日本人どうしの結婚の場合,原則として、夫婦の戸籍が新たに作成され,夫婦は同じ姓を称する必要があります(戸籍法16条1項)。しかし,日本人と外国人の結婚の場合,日本人についてのみ新たな戸籍が作成され,外国人配偶者の氏名は身分事項欄に記載されるだけになりますので,あなたがたの場合,別姓のままです(戸籍法16条3項)。生まれてくるお子さんの国籍は子の本国法によるとされており日本国籍になるので(国籍法2条1項),原則として日本人親の戸籍に入ることになり,日本人の父または母と同じ姓になります(民法790条1項,戸籍法18条2項。)

Q2 日本で働いている外国人ですが,母国から家族を呼び寄せたいと思っています。どのようにすればよいでしょうか。

(A:あなたが,例えば「経営・管理」という在留資格(入国管理法別表第1)を持っている場合,あなたの妻子を「家族滞在」という在留資格で日本に呼び寄せることが可能です。なお,地方の入国管理局であなたが妻子の代理人となって「在留資格認定証明書交付申請」という手続きをすることができます。)

Q3 日本人と最近結婚しましたが,現在は「短期滞在」のビザしか持っていません。ずっと日本に住むことができますか。

(A:「短期滞在」から「日本人の配偶者等」に在留資格の変更が認められれば希望がかなえられます。もっとも,在留資格変更が認められる要件として,在留資格該当性と相当性が求められ,さらに「短期滞在」からの変更の場合には「やむを得ない特別の事情」が必要とされています(入管法20条3項)。)

Q4 日本で働いている外国人ですが,日本人の配偶者と共働きをしています。二人の給料は別々の財産となるでしょうか。

(A:あなた方は日本に居住しておられますが,二人の間で特別な契約などをしていないのが通常だと思います(例外的に,夫婦財産制について他の国の法律によるというような準拠法の選択を書面でしている場合は「法の適用に関する通則法:Act on General Rules for Application of Laws」(略して「通則法」とも言われます。)26条2項でその国の法律が適用されます。また,結婚前に夫婦財産契約の登記(民法756条)をしている場合はそれによります。)。このような場合には,日本の民法が適用され,日本では夫婦別産制(762条1項)により,原則として自分で稼いだものは自分のもの,とされます。なお,専業主婦の場合は,離婚の際の財産分与等としての清算(768条)や死亡の場合の相続(890条)として持分が具体化される仕組みです。)

【相続関係】

Q1 外国語で遺言書を作ることができますか。

(A:最高裁1974年12月24日判決は,英文で作成され署名はあるが押印のない自筆証書遺言を有効としました。但し,外国語と日本語の遺言書を作ったほうが無難でしょう。)

Q2 相続が発生した場合,どこの国の法律が適用されるでしょうか。

(A:日本人の相続問題は原則として日本の民法が適用されますが,外国人が関係すると,どこの法律が適用されるかが問題となります。これはいわゆる国際私法の分野での準拠法:Governing Lawの適用問題と言われています。日本の「法の適用に関する通則法」36条では,相続は被相続人の本国法を適用すると規定されていますので,亡くなられた人(被相続人)が外国人の場合,その方の国の法律が適用されるという複雑な関係となります。たとえば,ニューヨーク州在住のアメリカ人の父親が死亡した場合に,父親が日本に不動産を持たれていたのなら相続分割主義により日本の民法が適用され,ニューヨーク州に不動産を持たれていたのならニューヨーク州の法律が適用されます。個別具体的には専門家への相談が必要でしょう。)

【その他】

Posted on 2018.07.19 in バックナンバー