子ども国際理解教育事業 留学生の出前講座「へ~、そうなん?」
2017年度
子ども国際理解教育事業
留学生の出前講座「へ~、そうなん?」
この事業は、『(公財)中島記念国際交流財団助成 (独)日本学生支援機構留学生地域交流事業』の助成を得て実施しました。
これからの多文化共生社会を担う子どもたちに、もっと世界と日本のつながりについて深く学び、それについて主体的に考える機会を提供できないだろうか。そのために、各国から日本に来ている優秀な留学生の力を借りられないだろうか。そんな思いから、子どもたちに「へ~、そうなん?」という発見と学びを届けられるような講座を留学生とともに企画しました。2017年度には、「物語」、「食べもの」、「人の移動」の3つのテーマを扱い、1回の公開講座と4回の小学校への出前講座の計5回の講座を実施しました。公開講座では、「そうなん?! 世界のいろんな物語」と題し、小学生(全学年)を対象に、5か国・地域の「物語」と文化紹介を楽しむプログラムを実施しました。子どもたちは、初めて聞く物語に聞き入ったり、外国の遊びを体験したりしながら、留学生との交流を楽しんでいました。
小学校への出前講座は、「そうなん?! 食べもののふるさと」と題した講座を、高槻市立如是小学校4年生、吹田市立藤白台小学校5年生、吹田市立桃山台小学校5年生を対象に3回実施しました。4年生向けの講座では、留学生から出身国で食べられる朝・昼・夜ごはんの話を聞き、国によってさまざまな食べものがあることを学んだうえで、世界で愛される日本食について考えました。5年生向けの講座では、留学生から出身国の気候・地形の特徴、有名な農作物や料理、輸出入の状況についての話を聞き、食料輸出入について学んだうえで、日本の食料輸入状況について考えました。子どもたちからは、国によって食べものや食文化が違うことがわかった、外国から食べものが送られてきて日本の食を支えていることを知った、気候と農産物の関係がわかったなどの感想が寄せられました。
また、吹田市立藤白台小学校6年生を対象に、「そうなん?!移動する人々」と題した講座を行いました。留学生から国の紹介、自国と日本の人の往来状況、自身の日本とのかかわりについて話を聞き、「外国で暮らすということ」について学んだうえで、留学生と小グループに分かれて多文化共生について話し合いました。子どもたちは、「外国で暮らすこと」や「外国語を学ぶこと」への期待と不安を思い、期待を膨らませると同時に、不安をどう乗り越えるか、その不安を抱えている人をどう支えるかについて留学生と意見を交わしていました。また、ある子どもからは、「ずっと日本で暮らしているから、外国と日本のちがいを聞いたときに日本がふつうで外国が独特なんだと日本をきじゅんにして考えてしまうけど、日本がふつうじゃない場合もたくさんあるから、聞くときに自由な心をもって聞けたらいいと思った。」との声が聞かれ、多文化共生の気持ちが育まれたことを嬉しく思いました。
この講座が、子どもたちに 《「外国」とは自分とは関係のない海の向こうの遠い存在なのではなく、日々の生活の中にさまざまな形で存在する身近なものであり、そのつながりによって現在の豊かな社会が築かれているのだ》 という気づきを与え、この先、これからの多文化共生社会の在り方について考えていく「種」を蒔くことができたとしたら、幸いです。