文化庁委託事業「生活者としての外国人」のための日本語教育事業

2019年5月~2020年3月

 吹田市の外国人人口は5,718人(2019年11月現在)。過去5年で30%増加しており、それに伴い地域における日本語学習のニーズも高まり、多様化しています。ここ数年SIFAでも学習希望者は増加しており、待機状態が続いています。そのような状況に対応すべく、2019年度文化庁委託事業として日本語学習機会の拡充や外国人の社会参加促進など、さまざまな事業に取り組みました。

 

外国人のための生活の漢字教室  

 仕事や子育てをして地域に根ざして生活していくためには日常会話だけでなく読み書きの能力も不可欠です。とは言っても非漢字圏の外国人にとって漢字習得はとてもハードルが高く、学習を続けることは容易ではありません。一年生の漢字から順に学んでいると、その人が必要とする漢字を習得できるまでに何年かかるでしょう。そこで、駅・スー パー・子どもの学校など身近なテーマで、身の回りにある「生活の漢字」から学ぶ教室を立ち上げました。今日学んだことが、今日生活の中で使える。「わかった!」と実感できる ことで、楽しんで続けることができる。漢字がわかることで生活の質が少しでも向上することを願って活動しています。

 

日本語わいわい  

 日本語教室において外国人は「支援される人」であり、日本語を習得して支援を必要としなくなった外国人は日本語教室を卒業し、SIFAとのつながりが希薄になっていました。外国から日本に来て生活する中で、戸惑いやしんどい思いを経験した人だからこそできる支援があると感じていました。そこで、日本人だけでなく外国人もボランティアとして参加する外国人同士の学び合いの場を開設しました。日本語学習の場ではありますが、先輩外国人にとっては自らの学習経験や日本での生活経験を生かして活躍できる場を得ることによって自信をつけることができ、後輩外国人にとっては当事者同士ならではの不安や悩みを共有でき、安心できる居場所となることを目指しています。

 

日本語交流活動教材『にこにこ』出前講座  

 2014年に開設したSIFAの「にこにこ日本語」教室では、外国人学習者が日本語交流(=おしゃべり)を通して日本語の力を伸ばすと同時に、教室に集うみんなが地域に愛着を持ち、互いの理解を深め、より豊かな関係を築いていくことを目指して活動しています。そのような日本語交流活動のために作成した教材『にこにこ』を紹介する出前講座を府内10市、計14回実施し、各地域の日本語教室で活動されている約250名の支援者の皆さまにご参加いただきました。

 各地を訪問してお話しを伺う中で、まったく日本語がわからない学習者の対応や学習希望者の急激な増加に苦慮されている状況など地域が抱える課題を知り、また、吹田の教材や活動実践についてさまざまなご意見をいただくこともできて、客観的な視点で吹田の取組をふり返る貴重な機会となりました。