多文化共生セミナー 「多文化な日本を知る」

日本で暮らし、いろいろな分野で活躍する多様な文化的 背景をもつ人たちが、働くこと、暮らすことについてそれぞれの立場から語る全4回シリーズのセミナーがすべて終了しました。このうち第2回から4回のようすをご報告します。

第2回 「違いはあってもココロは一つ ~多文化共生社会一歩進む~」
1月24日(日) @オンライン
岡山県総社市役所で働くブラジル出身の譚俊偉(タン シュンワイ)さんに外国人コミュニティづくりや災害時の支援活動などについてこれまでの経験をもとにお話し頂きました。
ブラジルの水害時、支援のニーズ調査に現地を訪れいろいろな知識や心の準備が必要だと痛感し、その後、総社市で外国人防災リーダー養成をスタートされました。その他、防災訓練の参加、非常食の体験、多言語防災カードに関するワークショップ、救命講習など様々な活動をすすめ、外国人市民と行政のかけはしとして活躍されてきたお話を伺いました。私たちはこのセミナーで得た知識を活かしていかなければならないと感じました。
コロナ禍でこの長い闘いをどのように前へ進んでいくのか、外国人も日本人も、国籍に関係なく、一緒に考え、行動すること「ちがいはあってもココロはひとつ」とおっしゃった譚さんの言葉がとても印象的でした。

第3回 「コロナ禍での外国人市民を取り巻く環境 ~あなたはこの実情を知っていますか~」
2月7日(日) @オンライン
特定非営利活動法人コリアNGOセンター事務局長で、多文化共生、人権学習の教育コーディネーターを務め、さまざまな子どもたちを支援するソーシャルワーカーとしてご活躍の金光敏(キムクァンミン)さんにご登壇いただきました。
外国人の子どもたちを対象にした夜間教室「Minamiこども教室」の設立過程や、学校と地域が連携して取り組む子どもたちの「居場所づくり」の現場について、お話しいただきました。なかでも、コロナはヒトに対して平等であっても、救済の現状は平等でない現状など、報道では届かない様々な声を紹介いただきました。緊急事態になってから取り組むのではく、平時から“繋がり”を持ち、関わり続けることの重要性に気付かされました。現在はコロナ禍で新たに入国する外国人の数は減っていますが、今後も増加傾向にあることは予測されています。外国人が主体的に地域と関わりを持てるシステムや方法を考えていく必要があると思いました。

第4回 「介護・農業の現場から考える地域社会」
2月28日(日) @オンライン
ネパール出身のラマカンチャさん、中国・内モンゴル自治 区出身の呼和德力根(フフデルゲル)さんにお話しいただき ました。
ラマカンチャさんは13年前に来日し、佐賀県唐津市で 農業を経営しています。最初は「外国人には土地を貸せない」などと言われていたのが、ラマさんが地域の行事に積極的 に参加し、無償で農家の手伝いを2年続け、地域の人たちとつながりを深めることによって、少しずつ応援してくれる人が増え信頼を得るようになりました。今ではネパールの若 者を雇って農業を営むだけでなく、他府県での障がい者トレーニングのためのビニールハウスの建設、農作業の指導等も行っています。日本では後継者が不足しがちな農業について、「だったら外国人に任せればいい。日本人、外国人という枠を超えて一緒に農業を支えていきたい。」と力強く語ってくれました。
フフデルゲルさんは、ヘルパー、介護福祉士等の資格を持ち、ケアマネージャーとして日本人高齢者をはじめ、在日外国人等の高齢者支援に取り組んでいます。外国人の高齢者は、言葉が通じないから認知症だと誤解されてしまうこともあるそうです。その人の育った国の文化による行動が、おかしな行動だと誤解されてしまう事例もあったといいます。「どんな人も最期は幸せに過ごしてほしいと願っている」と、フフさんの温かい思いを伝えてくれました。
農業も介護も、日本で多くの課題を持つ分野です。お二人がそれぞれの信念を持って、自分だからできる分野で活躍されている姿が頼もしく感じられました。